1970年生まれ。 44歳 東京都出身。
ライター、編集者、コラムニスト、ゲーム批評家。
ゲーム情報雑誌「週刊ファミ通」の編集者を経て、
2000年4月よりフリーのライターとして活動。
好きなゲーム 『フォールアウト」 「バトルフィールド」など。
ゲームの腕前は神様級ではないが、
誰にも負けないほどゲームを愛している。
そして何よりも、ゲームのおもしろい、おもしろくないに関しては、
人によってぶれない強い信念を持っている。
好きな音楽はクラブミュージック。
隔月に一度のクラブイベント「ATTACK OF THE MIRROR DISCO」ではDJを努める。
ライターの講師やクラブイベントのプロデューサーとしても活躍中!
「すみません、遅くなりました!」
雨上がりの渋谷駅近くの待ち合わせ場所に
ローリング内沢さんが笑顔でやって来た。
内沢さんと初対面したのは後にヨウメイがぶっ飛ばすことになるゲーム配信番組でのことであった。
ゲーム情報雑誌「週刊ファミ通」でレビューを書いている。
それだけで、テレビゲームを遊んでいる人達とファミ通の読者にとってはあこがれの人物である。
ゲームをクリアーするための情報や裏技など事細かに知っている。
お会いするまでは全てのゲームにおいて神様だと思っていた。
いきなり訪れたミッション。番組の中で紹介しなければならない対戦格闘ゲームの収録。
それが意味するもの、つまりゲーム内に登場するキャラクター達が持っている
必殺技を連続で繰り出しかっこいい映像を収録しなければならない。
格闘ゲームをやったことのない方々のために解説すると、
キャラクターの必殺技を連続で繰り出すには、
一秒にも満たない時間内に、コントローラーに配置されたボタンの操作が必要なのである。
しかも間違えずに、それを一度も間違えず、連続して押し続けなければならない。
説明書を読みながら、キャラクターの必殺技のボタンを出しているだけでは
コンピューターが操作する対戦相手のキャラクターにでさえあっという間に負けてしまう。
瞬発力と判断力が求められるとても高度なゲームである。
映画「箱入り息子の恋」の中で平泉成さんが演じるお父さんがプレイしている
映像を見て頂ければよくわかると思う。
ふと思い出したことがあった。
高校時代、一度だけゲームセンターで「鉄拳」や「バーチャファイター」をやったことである。
当時、ストリートファイターというゲームが流行っていた。
ゲーマー達の間ではゲーセンでの格闘ゲームで対戦相手をぼこぼこにすることに命を懸けていた。
昔、ゲームセンターで不良の方々にからまれ、トイレでジャンプさせられたことのあるヨウメイも
高校生になるとそんな時のことは忘れて学校の帰りに通うようになっていた。
テレビゲームだとお金を気にせずに何度もプレイすることができる。
しかし、ゲームセンターでプレイする格ゲーは操作の仕方からして違う。
ここで詳しく知ったかぶりで解説すると家庭用のビデオゲームのコントローラーは
手に持つ事ができる。だから操作しやすい。
しかし、ゲームセンターに設置されているコントローラーは
ゲーム台設置されているので手に持つ事ができない。
普段なれたコントローラーで操作するのとは違い、
丸いスティックを使ってコマンドを入力し、必殺技を繰り出さなければならない。
状況が変わればすぐに対応することができないヨウメイ。
生き方も下手だが、手先も不器用なのである。
対戦相手が入ってくると上手く必殺技をつなげて繰り出すことができず、すぐに負けてしまう。
100円で1分を保たすことさえもできないことが続いた。
どあほは負けると直ぐに熱くなり、周りが見えなくなり突っ込んで行く性格である。
そして勝てないことも解らずに、どうしても相手を倒そうとする。
コンテニューをし何度も挑むが、ゲームをやり込んでいるゲーマーには勝てる訳はないのである。
そして、大金を投入してしまうというヨウメイにとってはとても手に負えないゲームとなった。
友人のアンディもこの格闘ゲームに命を懸けていた。
弱い相手は瞬殺し、強い相手が登場するとひたすら逃げまくり勝利を手に入れる。
投入した100円を守るため、卑怯と言われようがただ勝つことだけに執着していた。
そのため、負けた相手から恨まれ喧嘩になりそうになったこともしばしばあった。
100円で長時間遊ぶ為にゲーマー達が必殺技を繰り出す。
そしてまた、遊ぶ為の資金をひねり出す為に親を騙し、
お金を引っぱり出すことにも命をかけていた。
ヨウメイにとって格ゲーで乱入してプレイするにはそれほど恐ろしいゲームであったのである。
それ以降、ゲーセンで遊ぶ時には手を出さないジャンルのゲームとして封印した。
そして、10年の封印を解き、番組の為にはどうしてもかっこいい必殺技を収録しなければならなくなったのである。
いきなりプレイして必殺技を出せと言われても直ぐに繰り出せるヨウメイではない。
同じく、周りの誰も格ゲーを遊んでいないので繰り出すことができない。
そんな時、急にやまさんが、
「内沢さんに頼めばいいんじゃない?」
「えやってくれるんですか?」
内沢さんに連絡をとってもらった。
どうやらプレイOKなようである。
これでかっこいいキャラクターの映像が収録できる。
何せゲームの神様がプレイしてくれるのである。
数時間後。
タバコの煙が悶々と立ち籠め、火災警報機があれば間違いなく
なっているきたない編集室の扉を開け、煙の中からゲームの神様が登場した。
「はじめまして、ローリング内沢です。」
にこやかな表情で内沢さんが現れた!
「このキャラクターの必殺技どうしても出せないんですけど
なんとかなりませんか」
「わかりました。やってみましょう」
僕らが見守る中、神様、ローリング内沢さんのプレイが始まった。
神様のプレイが見れる!!!!
それから2時間後…
「できました!必殺技のコンボ!」
ようやく一人目のキャラクターの必殺技が炸裂した。
「いや〜実は格闘ゲームそんなに得意じゃないんですよね。」
「先におっしゃって下さい!!!」
できないと言わず、キャラクターの必殺技を出すことに専念してくれた。
真剣にゲームに取組んでくれている姿勢には頭が下がった。
そして、内沢さんがすべてのゲームにおいて神様ではないこともわかった。
ただ、純粋にゲームが好きなんだということはよく伝わってきた。
それからと言うもの、ことあるごとに攻略が難しいたびに内沢さんに連絡をすると
いつ何時でも飛んで来てくれゲームのプレイに付き合ってくれた。
本当にゲームが好きなんだな!!!
神業を見せるだけがゲーマーではないんだなと思い知らされた。
ただ、ゲーム好きなローリング内沢さんのこだわりを知る機会が訪れた。
とあるゲームのレビューを見たときである。
これから発売されるゲームの評価について周りのレビュアーの方々と
内沢さんがつけたレビューの点数が大きくかけ離れていた。
発売前からかなりオモシロイと話題になっていたゲームだった。
それなのに、他の方々と違いどうしてそんなにきつい点数をつけたのか
気になって内沢さんに聞いてみた。
「オモシロイと話題になっているのにどうしてレビューの点数きついんですか?」
「確かにストーリーはおもしろいのかもしれませんが、
ゲームとしての新しい要素が特に入ってないことなどから、この点数をつけたんです」
答えを聞いた時、とてもキツいことを言うなと思っていた。
しかし、実際にそのゲームを遊んでみると確かにゲーム自体のストーリーはおもしろい。
だが内沢さんの言う通り、これまでのゲームと違って新しい要素は特にはなかった。
確固とした信念を持ってゲームのレビューを書かれていることがよくわかった一件であった。
その後も内沢さんのレビューを見続けていくと他のレビュアーの方々が低い点数をつけているときでも
ひとりだけ高い点数をつけていることがあった。
そして、そのゲームを遊んでみるとやはりゲームとしての新しい要素が加わっていて、
内沢さんが指摘しているポイントがやはりおもしろい。
ゲームのレビューをするということはゲームを創った方々を評価することで
売り上げにも関わってくるはずである。
それを自信を持って評価するには判断基準と強い信念がなければ成り立たない。
いつもふらふらしていてるヨウメイにはどうして内沢さんが
確固とした自信を持つことができたのか気になっていた。
仕事でゲームの話しはするが、内沢さんに面と向かっていろいろと聞いたことはなかった。
なら、内沢さんがどうやってその揺るぎない信念を身につけることができたのかを聞いてみることにする。
スマートフォン用 前半_1 (17分)
スマートフォン用 前半_2 (13分)
スマートフォン用 前半_3 (12分)
i-phone用 前半_1 (17分)
i-phone用 前半_2 (13分)
i-phone用 前半_3 (12分)