profile
福本 清三(ふくもと せいぞう)
1943年2月3日生まれ
兵庫県出身。
俳優。
15歳で東映京都撮影所入社。
撮影所所属の大部屋俳優となる。
主役の代わりにスタントマンとして危険な崖落ちを見事演じ、
監督からほめられたことで演じることの楽しさに気づく。
しかし、始めてセリフを貰った時、
本番でうまく言えなかったことを機に
しゃべれないなら動きで、人々を魅了するような演技ができるようになろうと、
斬られ役を極めることを心に決める。
「仁義なき戦い」の撮影時、深作欣二監督に
演技について細かく指導されたので
撮影後、演技のことについて相談すると
「映像の中で福本一人遊んどったら画がこわれる」
と教えられる。
それ以降、「例え死ぬにしても楽して死んだらあかん」
と心に決め、殺され方、死に方をひたすら研究。
日本中に一人だけでも良い。
福本清三を見ていてくれるファンを作ろうと思い
俳優を続ける。
そして、斬られ役として映像にはほんの一瞬しか映らないが
個性のある顔立ちと、斬られる時の印象的な演技が注目を集める。
ファンの一人が「探偵!ナイトスクープ」に依頼したことで
斬られ役の先生として「徹子の部屋」出演。
斬られ役という職業を世に広めるきっかけとなる。
定年間近の60歳のとき、ハリウッド映画「ラストサムライ」に出演。
トム・クルーズ氏と共演。
演じた寡黙なサムライ役が好評を得る。
70歳で初主演した映画「太秦ライムライト」は
第18回ファンタジア国際映画祭で日本人初となる最優秀主演男優賞を受賞。
斬られ役人生50年以上。
通称 5万回斬られた男。
70歳を超えられて演技力に魅力が増し、
映画、ドラマ、CMにと多方面にて活躍中。
東映剣会所属。
最新出演作は時代劇専門チャンネル/オリジナルドラマ『チャンバラが消えた日』。
出演
映画
仁義なき戦い
蒲田行進曲 (1982年) - 大部屋時代劇役者
ラストサムライ (2003年) - 寡黙なサムライ
太秦ライムライト (2014年) - 主演・香美山清一
など出演作多数
ドラマ
大岡越前
水戸黄門
暴れん坊将軍
遠山の金さん など多数出演
CM
サントリーBOSSコーヒー(2008年4月-放映)
Wii Sports Resort(2009年6月-放映)「岡村隆史 VS 福本清三」編
日清食品「日清カップヌードル 現代のサムライ篇」(2014年4月-放映)など
著書
どこかで誰かが見ていてくれる ―日本一の斬られ役・福本清三 創美社
おちおち死んでられまへん ―斬られ役ハリウッドへ行く 創美社
「東映剣会公式ページ」
福本清三さんが斬られ役になった理由
福本清三さんとヨウメイ
「どこかで誰かが見ていてくれる」
映画「太秦ライムライト」で主演を努められた
福本清三さんがセリフをしゃべってはる!!!
通称、「5万回斬られた男」。
福本清三さん。
斬られ役を演じられて50年以上。
主役を目指すことを捨て、斬られ役一筋で
主演される方々を映像の中で
支えてこられた超ベテランの大部屋出身の俳優。
斬られ役だった福本清三さんがなんと、
70歳を迎えられての映画初主演!!!
斬られ役以外で、役を演じられる福本さんを
映画、ドラマを通じて拝見するのは始めてであった。
福本さんの人生が描かれた映画、
「太秦ライムライト」。
斬られ役として俳優を続けてこられた
福本さんが言うセリフだからこそ、
一言一言にとても重みがあり心につきささる。
危うく途中で福本さんのセリフに
泣かされそうになったヨウメイがいた。
斬られ役であった福本さんのイメージは悪人の片棒を
かつぐ怖い人でしかなかった。
そして、失礼な話、ある番組を見るまでは
福本さんのことなど全く知らないヨウメイであった。
悪役=悪い人。
そんなイメージを払拭したのが、関西で今も続く人気番組、
「探偵!ナイトスクープ」である。
知らない人の為に一応解説をしておく。
「探偵!ナイトスクープ」とは
視聴者から寄せられた
素朴な疑問や投稿を探偵に扮した
芸人さんが真剣に解決していく。
その内容が、ばかばかしい回もあれば、
感動作が生まれお涙頂戴の回もある。
放送された中で、感動作の1本としてヨウメイの心の中に刻まれた放送が、
『斬られ役の先生を「徹子の部屋に」』
である。
斬られ役の福本清三さんが登場された回である。
視聴者の方からの依頼内容はタイトルの通り。
斬られ役。
時代劇で悪役の用心棒として登場し、
セリフもなく主役に向かって斬り掛かって行き、
一瞬でもテレビ画面から目を離そうものなら
いつの間にか画面には映っていない。
映像に映るのは一瞬。
あっという間に斬り殺される。
悪役でも悪代官や商人など、悪の主役であれば
セリフもあり、主役級の方々が演じているので
名前も番組内で役名として表記されるが、
その他大勢の用心棒の浪人や侍であれば
名前すらも表記されない。
依頼者は無名の斬られ役だった福本さんを
一瞬しか映らない時代劇の中でずっと見ていて
名前がわからないから探し出して欲しいという依頼であった。
そして、依頼を受けた探偵の桂小枝さんが
斬られ役の先生を探しに東映京都撮影所に向かい、
浪人姿で食堂で休憩中の福本さんを見つけるのであった。
浪人姿の福本清三さん。
メイクが施され、目つきが悪い。
悪役そのものである。
そして顔も彫りが深くとても怖い。
悪いことをしている人はやっぱ悪い顔しているなと
自分の顔のことは棚に置いて
勝手に思うヨウメイであった。
しかし、小枝探偵が福本さんにお話を聞いている最中は
怖いはずの福本さんの表情が崩れ、
福本さんの優しい人柄が所々から感じられた。
悪役でも演じている役柄だけなので
ほんまに悪い人ではないんだと
どあほなヨウメイも理解したのであった。
そして、番組では依頼者の依頼通り
斬られ役の福本さんを「徹子の部屋」に…。
ここから先を知りたい方は、発売されている
「探偵!ナイトスクープ」のDVD、vol.8をご覧いただければ
ヨウメイが説明するよりもよくわかって頂けると思う。
そして、徹子の部屋の収録場所を訪れた福本さん。
とても緊張されていていた。
そして、おっとろしい顔はしてはるけど
本当は優しい福本さんの人柄を知ることができた。
そして、主役を支える脇役、
斬られ役でもテレビ、映画に出続けている限り
見ている人は見ているんだなと思ったヨウメイであった。
それからは、映画やドラマの見方も変わり、
名前も知らないが出演されている
悪役や通りすがりの人にも目がいくようになり、
有名ではないが良い演技をしている人に目が向くようになるのである。
逆に有名でない人が段々と、売れていく過程を見るのが
邦画を見る楽しみのひとつにもなったのは福本さんのおかげである。
その当時はインターネットも普及してなく
よっぽど気にかけなければ
なかなか福本さんを映像で拝見することはできなかった。
それが、福本さんの演技を映画でじっくりと
拝見できるとは思いもしなかった。
それもハリウッド映画「ラストサムライ」で。
運命の出会いはまたしても「探偵!ナイトスクープ」。
福本さんがまたしても探偵ナイトスクープに登場されたのであった!
浪人姿の福本さんが刀を持って画面内に登場!!
すると、
「ハリウッド帰りの斬られ役、福本清三さん!!!!」
え、ハリウッド!!!
どういうこと!?
と思ったらなんとハリウッド映画「ラストサムライ」に
出演されていると番組内で言っている。
斬られ役の福本さんがハリウッド映画!?
それもトム・クルーズ氏と共演!?
無名だった大部屋俳優の福本さんが!!!
探偵!ナイトスクープで福本さんを再び
お見かけできたこともうれしかったが、
何よりも、映像として長々と出演されている
福本さんのことを知れたことがもっとうれしかった。
ただ、番組を観るまで福本さんがラストサムライに
ご出演されていることを知らなかったヨウメイは
福本さんファン失格ではあるのだが。
すぐにDVDを借り「ラストサムライ」を観てみる。
福本さん出演してはる!!!
それもトム・クルーズ氏と同じシーンに!!!
そして最後は…
めっさかっこいい福本さんをご覧になりたい方は
是非「ラストサムライ」をご覧頂ければと思う。
ラストサムライ以降は映画やドラマ、CMで出演されているのを
ちょこちょこ拝見していた。
ご活躍される福本さんをうれしく思いながらも、
映像制作において自分の才能がないのに気づき、
引きこもりならぬ、立てこもりになったヨウメイ。
そんなときに、福本さんのニュースを
たまたま見て驚かされるのであった。
福本清三さん、70歳で映画「太秦ライムライト」で
初主演!!!!
ほんまでっか!!!
大部屋俳優の福本さんが主演!!!
そして、映画「太秦ライムライト」で
ファンタジア国際映画祭で最優秀主演男優賞を
受賞されたのであった。
「どこかで 誰かが 見ていてくれる」
斬られ役として50年以上俳優を続けてこられた
福本さんだからこそ言えるセリフである。
心が簡単に折れるヨウメイにとても響いた言葉であった。
続けていれば誰かが見てくれるかもしれない。
絶対に無理かもしれないが、
福本さんに俳優を続けてこられた
折れない心の持ち方を是非ともお伺いしたい。
どあほなヨウメイは出演依頼を送ることにした。
しかし、福本さんは東映京都撮影所に所属される俳優である。
その上、ハリウッド俳優。
絶対に無理だろう。
いやいけるかもしれない。
そんなこんなで1週間悩んだあげく、
思い切って連絡をしてみた。
「ふらふらのヨウメイと申しますが…」
「何をおっしゃてるか全く分かりません。」
ついに家に立てこもる期間が長く
言葉まで通じなくなってしまったのか?
ここでめげてはいけない。
「立てこもりを脱出する為に、配信をやっておりまして。
是非ともゲストとして福本清三さんにご出演頂きたく…」
「ウチの福本にですか?
私、福本の担当をしています西嶋です。」
「えー、福本さんにインタビューを…」
「では企画書をお送りください。」
「わかりました。」
ヨウメイはとても運が良かった。
連絡を入れ受けてくださったのが福本さんのマネージャーを
担当されている西嶋さんであった。
企画書をお送りした1時間後。
西嶋さんからお返事のメールが返ってきたのであった。
福本のインタビューOKです。
場所は東映京都撮影所でどうでしょう?
東映さん本当によろしいんですか!!!
ヨウメイはメールを見て信じられなかった。
東映京都撮影所。
映画の聖域である。
そんな由緒ある所で、どこぞの馬のホネともわからないもんを
福本さんにお会いさせていただいてもよろしいんですか!?
中野昭慶監督を紹介するときにも書いたのだが、
どあほなAD時代、某撮影所で断りなく撮影をしようとし
危うく収録事態を中止に追い込もうとした男ですよ。
とこのときは西嶋さんに言えるはずもなく、
「本当によろしいんですか?ありがとうございます。」
すぐに返事を返したヨウメイであった。
ハリウッド俳優の福本さんと心が折れた立てこもりのヨウメイ。
果たして福本さんはご自身のことをいろいろと教えてくださるのか?
当日になって断られるのではないかと不安を抱きつつ
東映京都撮影所に向かうヨウメイであった。
これまでにインタビューを行った、月詠さんや
藤原組長のときには道を間違え、かなり時間に遅れた
経験を持つヨウメイである。
今回はその教訓を生かし、45分前に現場に着いたヨウメイであった。
東映京都撮影所。
深作欣二監督「蒲田行進曲」の舞台となった撮影場所である。
「銀ちゃん」
「ヤス」
撮影所の正門を前にヨウメイの記憶に
映画のワンシーンが思い浮かんだ。
待ち合わせ時間にはかなり早かったのだが連絡を入れると
西嶋さんが迎えに来てくださった。
「遠い所をお越し頂きましてありがとうございます。
福本も待っていますのでよろしくお願いいたします。」
え、福本さんもうお越しになっているんですか?
収録時間の45分も前のことである。
撮影所の敷地内を案内され、収録場所の俳優会館へ案内されるヨウメイ。
案内されるとき、横目に見ると食堂が!!
探偵!ナイトスクープで福本さんがいたところと同じだ!!
あれ、人がいる。
もしかして…。
席にはなんと福本さんのお姿があったのである!!!!
見間違えるわけはない。
45分も前ですよ。
食堂でくつろいでらっしゃるということは
1時間以上も前に来られていたに違いない。
見ず知らずのどあほに対しても
きちんとご対応してくださる。
福本さんの収録に対する姿勢に驚かされた。
「すみません。今日、会議室で福本のインタビューを
していただく予定だったんですが、
場所が変わりまして東映剣会の道場でお願いします。」
西嶋さんにかけられた声で我に返るヨウメイ。
え、西嶋さん、東映剣会の道場!?
収録場所のグレードがあがっているんですけど。
そんな神聖な場所までご用意していただいて
ほんとによろしいんですか?
「いろいろと福本に聞いてください。」
ドキドキしながら俳優会館に近づいていくと、
映画「太秦ライムライト」でロケ場所として使用されている
掲示板や事務所が。
本物だ!
映画のロケの場所なので当たり前である。
収録場所の東映剣会の道場に案内されると、
「福本を呼んで参りますのでちょっとお待ちください。」
西嶋さんが福本さんを呼びにいかれた。
数分後、
「おはようございます。 」
福本清三さんが道場に入って来られた。
本物の福本清三さんだ!!!!
斬られ役の先生。
「ラストサムライ」で寡黙な武士を演じられた。
「太秦ライムライト」で大部屋俳優を演じられた。
「今日はよろしくお願いします。
ワシなんかに話を聞いても何も出やしまへんで」
いえ、そんなことはありません。
「こんな老いぼれでよかったら何でも聞いて
おくんなはれ」
貴重なお時間をいただきありがとうございます。
「ほな、ぼちぼち」
ひとつひとつの質問に時間を気にせず丁寧に
最後までお話くださった福本さん。
「インタビューお答え頂きまして、ありがとうございます。
福本さんの紹介用に動画を撮影させていただきたいのですが、
お願いしてもよろしいでしょうか。」
「こんなもん撮影しても何もあらしまへんで」
快く動画撮影をさせていただけることとなったのである。
木刀を手にすると目つきが鋭くなり、
殺気を帯びながら構える福本さん。
そして振り下ろされる木刀。
ヨウメイが構えたカメラの数センチ前を木刀が
通り過ぎていく。
ビュッ。
ビュッ。
木刀が空を斬る風圧。
そして斬られ役になりきったときの
福本さんの気迫。
最初は福本さんの剣さばきの凄さが
全く解らなかったヨウメイ。
かっこいい福本さんを撮影する為に
気にせず、カメラを持って突っ込んでいた。
何シーンか撮影させていただいたときに
ふと気づいた。
あれ、この木刀にあたったらめっさ痛いよな。
カメラで撮影しながら急に怖くなった。
動画では凄さが伝わっていないかもしれないが、
普通の人が同じことをすれば事故になるぐらいの
距離を木刀が舞っている。
これって…。
斬られ役としてやってはいけないこと。
主役にケガをさせること。
人を斬るギリギリのところを知り抜いた上で
木刀を振ってくださっていた福本さん。
「もう、よろしいわ。」
殺気が消え、何事もなかったように、
普段の優しい表情をした福本さんの姿が道場にあった。
福本清三さん 前編38分ほど
福本清三さん 後編40分ほど