profile
本田 亮(ほんだ りょう)
1953年3月30日生まれ。
東京都出身。
日大芸術学部写真学科卒業。
元CMプランナー。
元電通エクゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター。
サラリーマン「転覆隊」隊長。
環境マンガ家。
写真家。
作家。
小学生のころは3月30日生まれという事もあり
体が小さく、泣き虫で女の子に泣かされるほどの弱虫。
子供の頃から自然の中で遊ぶ事が好きで、
高尾山にしか登った事がなかったが高校では山岳部に入部。
また、当時はやっていたキックボクシングにはまり
キックボクシング部を作る。
当時のリングネームはウルフ本田。
大学を受験する時に進学する事に疑問を抱き、
高校3年の途中で受験勉強をやめ読書に没頭する。
そのとき、1冊の本に出会い、人生について考得させられ、
受験の直前で進路を日本大学芸術学部写真学科に決めるが試験で落ちる。
写真家になる夢をかなえるため浪人生になる。
しかし、すぐ受験勉強に専念する事なく、
カメラを購入するためアルバイトを始める。
貯金がたまり念願のカメラ購入後、受験勉強に専念。
落ちたらどうしようと思いながらも、日大芸術学部写真学科を受け、
20倍を超える競争率だったが見事合格。
写真家への第一歩を踏み出す。
転機は、カメラアシスタントのアルバイトをしたとき、
CMプランナーがカメラマンにいろいろ注文しているのを見て腹がたち、
「あの偉そうな人、何なんですか!?
どうして言う事聞かなければならないんですか」と
カメラマンに言ったところ
「君はカメラマン向きではないよ」
と言われ、考えた末、CM制作へ進むことを決める。
大学卒業後、電通に入社。
世間知らずで傍若無人な性格だった為、
会社の人や仕事先の人に怒られまくる。
その当時のお母さんの言葉は、
「絶対にクビにならないで」
だったらしい。
その後はCMプランナーとして活躍。
「ピカピカの1年生」を始め、
数々のテレビCMを手がける。
昔から自然が好きだったこともあり、
仲間3人とカヌーで川下りを始めた事がきっかけとなり、
「転覆隊」を結成。
日本一ヘタなカヌーチームの隊長に就任。
パリダカールラリーを追いかけサハラ砂漠を訪れた時に、
砂漠の真ん中で大量の貝殻を目にする。
その事から環境問題の事を考え始め自分にできる事は何かを考え、
環境マンガを描く事を決意。
3ヶ月をかけようやく最初の1枚を完成させ、
1年後には銀座初の個展を開く。
1991年には環境マンガ「エコノザウルスが行く」
が出版される。
2011年、電通を早期退職。
現在も転覆隊の隊長としてアウトドア雑誌「ビーパル」での連載をつづけながら、
環境マンガ家として全国で「エコノザウルス」展を開催中。
受賞歴
テレビCMでカンヌ国際広告賞。
ラジオCMでACC賞
写真でAPA賞
イラストでニューヨークADC賞
マンガで読売国際漫画大賞
コピーで読売ユーモア広告大賞
クリエーティブディレクションで朝日広告賞、ギャラクシー賞
社会貢献活動でJC地球環境大賞 など
書籍
『僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話/大和書房』
『ママチャリお遍路1200km/小学館』
『悪ガキオヤジが川に行く!/小学館』
『サラリーマン転覆隊が行く 上・下/小学館』
『サラリ-マン転覆隊が来た!/小学館』
『環境マンガ集 エコノザウルが行く!』(学研)
『あんたも私もエコノザウルス』(小学館)など
本田亮さんホームページ
サラリーマン転覆隊
https://www.facebook.com/tenpukutai1988
本田亮さんが環境マンガ家になった理由!
本田亮さんがサラリーマン『転覆隊』隊長になった理由!
本田亮さんとヨウメイ
「♪出会いは〜 一冊の本」
と中森明菜さんは決して歌っていない。
チームシェルパのカフェでヨウメイは
『進撃の巨人』に匹敵する、
『衝撃の一冊』に出会ったである。
本棚に飾ってあったドキュメンタリーの神様、
平野勝之監督の「監督失格」のDVDから
ゆっくりと横に目をやったその時、
運命の1冊、いや2冊の本と出会ったのである。
その本のタイトルは
『サラリーマン転覆隊が行く 上下巻』。
本のタイトルがスゴくいい。
松田優作さん風に言えば
「なんじゃこりゃー」
である。
発見した衝撃で刺された傷を
押さえては言っていない。
なんと、サラリーマンが転覆しているのである。
一体どういった本なのだ!!!
そしてその著者が本田亮さんであった。
本田亮さんの本がチームシェルパのカフェの本棚に
陳列されているということは
シェルパ斉藤さんと何か関係があるに違いない。
シェルパ斉藤さんとはアウトドア雑誌『ビーパル』で連載を持っている
紀行作家である。
そしてヨウメイを知らない方のために
ここで簡単に解説しよう。
自分の映像制作の能力のなさに気づき、
現在、家に引きこもりならぬ立てこもり中。
そんなヨウメイにとって、
アウトドアは全くの無縁である。
つまり、シェルパ斉藤さんのお話を伺う前に
シェルパさんの書籍は片っ端から拝読したが
ビーパルのような崇高な雑誌は
全く拝見したことがないのであ〜る。
後で知ることになるのだがこの時、
本田亮さんがビーパルで連載を持ち
日本のサラリーマン(特に男性)
から絶大な信頼を集めている
人気作家であることは全く知りもしなかった。
ちなみにシェルパ斉藤さんは女性から
絶大な人気があるらしいと後に
本田さんの本を読んで知るのであった。
平野勝之監督と同じように知らない方のことは
チームシェルパの女神様こと京子さんに
聞くのが一番である。
「京子さん、サラリーマン転覆隊の本田亮さんて
いったいどんな方ですか?」
「本田さん? 俳優の田中要次さんと一緒に
テレビ番組にも出演されてて
転覆隊の隊長をされてますよ。」
「転覆隊の隊長!!?」
「一度チームシェルパにも撮影で
いらっしゃったこともあるんですよ。」
テレビドラマ「HERO」や映画で
活躍中の田中要次さんと共演!?
本田さんもしかして文化人なのか!?
「ビーパルでも連載を持ってらっしゃって
とてもオモシロい方ですよ。」
京子さんの話を聞きつつ、
鎮座する本田さんの本のタイトル、
「サラリーマン転覆隊」を
すぐ忘れる脳にしっかり刻み込もうとしていた時、
(メモをとれ)
「本田さん、以前は広告代理店の電通に
勤めていたんですよ!」
「広告代理店…」
「『♪ピカピカの1年生って』CM覚えてます!?
CMプランナーの本田さんが
創られているんですよ」
「エッ!? そうなんですか。」
誰もが子供の頃にテレビで1度は目にしたことの
ある超がつくほどの有名なCMである。
知らない方は本屋に行って小学館の
小学1年生を手にとれば記憶が
よみがえるであろう。
そんな作品を制作されていた方であったとは…
ナレーションさえまともに書けない
ヨウメイとは天と地の差である。
クリエイティブディレクター。
広告代理店。
電通。
ヨウメイには広告代理店と聞いて思い出される
出来事があったのである。
それは、全く使えないアシスタントディレクターを
していた時の話にさかのぼる。
ある出版社が子供教材用のDVDを制作する時のこと。
ヨウメイにミッションが下ったのである。
コードネームはズバリ
「出演する子供たちを楽しませろ」
であった。
何のことはない、仕事でいろいろなトラブルを起こしまくっていた
ヨウメイにその時、唯一できたこと。
それはいちびり(意味は関西のひとに聞いて下さい)のヨウメイでも、
ボケたことに対して色々とツッコミをいれてもらうことで、
子供たちを始め、多くの人たちを笑わすことができていた。
その才能を買って頂いて与えられたミッションである。
撮影を上手く遂行するためには子供たちを
飽きさせてはならない。
とても重要な役割である。
子供たちが楽しく撮影に望んでくれるかどうかは
いかにして現場の空気をよくし飽きさせないかと、
お菓子にかかっているといっても過言ではないと
ヨウメイは勝手に思っている。
そこで閃くものがあった。
子供たちを楽しませるのに、アホになるのも必要だが、
もうひとつ重要なものがある。
それは子供たちを夢中にさせることのできる
唯一のもの。
それは絵本だと勝手に思い込んでいた。
ヨウメイにこのミッションを与えてくれたのは
女の子にも優しいが、男にも優しい仏の岩さんであった。
ただ、岩さんは恋愛対象として男の人を好きではないということは
本人のために付け加えておくことにする。
話がちょっとそれたので本筋に戻す。
万が一、ヨウメイのパフォーマンスが発揮されず
ダメになったときのことを考え、
保険として、子供たちを楽しませる最終手段として
絵本を準備したのであった。
撮影当日、子供たちの控え室に
ヨウメイは絵本をこそっと忍ばせたのであった。
すると5分後。
「だれじゃー この絵本 置いたやつは!!」
子供たちの部屋から、仏の岩さんの叫びごえが
聞こえてきた。
何事かと思い子供の部屋に入ると
岩さんが絵本を片手に仁王立ちで立っていた。
そして顔色が、あごの先から頭のてっぺんまで真っ赤になっていた。
しらばっくれようかと思ったが
激怒している岩さんに打ち勝つだけの
尖ったギザギザハートを持ち合わせてない。
ヨウメイのチキンハートは正直に答えたのである。
「ヨウメイであります。
子供たちのテンションがさがった時のことを考え
準備いたしました。」
てっきり お褒めの言葉をいただけるかと思っていたら、
絵本を胸に突きつけられ。
「バカヤロー
他の出版社の絵本を置いておまえは
何を考えとるねん!?」
いや〜岩さん、子供心がわかってないなとは思っても
口に出さない。
「仕事なくすぞ!!
クライアントが来る前にすぐ撤去せよ」
「F」の赤城軍馬の
「何人(なんぴと)たりとも俺の前を走らせねぇ」
ではないが
「競合する企業の商品は決しておくんじゃねぇ」
と鬼の形相でどなられたヨウメイなのであった。
そして、渋々、クライアントに本が見つからないように
段ボールの闇へ葬ったころ、
仏の顔になった岩さんが近づいてきてヨウメイの近くでボソボソと
聞こえるようにささやいたのであった。
「俺が昔、CM業界で働いていたころのこと
クライアントである広告代理店の
プロダクションマネージャーが
競合するメーカーの飲料商品を撮影準備しました。
それを上司のプロデューサーが発見しました。
さて どうなりましたでしょうか」
そんなこと、ヨウメイは岩さんの現場にいないので
知るはずもない。
「答えは 発見したプロデューサーが鬼の形相で
走ってきて、プロダクションマネージャーに飛び蹴りをかましました。
蹴られた人はイナバウアーで吹っ飛んでいきましたとさ!」
にほん昔ばなしではない。
最近起こった出来事である。
恐るべし企業ビデオ。
クライアント。
そして広告代理店である。
ヨウメイの脳みそには
「決して競合企業の商品は現場に置くんじゃない」
とシワとなって刻まれたのであった。
競合する他社の商品があるだけでそんなことが起こるのか!!
使てる豆がちゃうではないが
動いている金がちゃうのである。
一歩間違えれば仕事がぶっ飛ぶどころか
会社がぶっ飛ぶのであると絵本の一件で肝に命じた
ヨウメイであった。
「俺もCMの撮影で移動の時、広告代理店のひとが
クルマに乗れないから仕方なく、トランクに
詰め込まれ移動したことがある。」
と語っていた岩さんの言葉だけに、
ライダーキックをくらい悪魔元帥のように
爆発しなくてよかったと胸をなで下ろしたのである。
そんな、厳しい戦場を仕事場にしていた本田亮さん。
ネルフの副司令官の冬月コウゾウが
覚醒するエヴァンゲリオン初号機を見て
「神なのか悪魔なのか。」
と言ったが、
ヨウメイにとって本田さんは
果たして、人なのか鬼なのかと思慮するのであった。
ただキャッチコピーのネーミング、
サラリーマン転覆隊は
凄くヨウメイの心に残ったのであった。
本田さんのことを京子さんに紹介してもらおうかとも
一瞬考えたのだがそれは止めた。
なぜなら調べると電通での本田さんの肩書きが
出てきたからである。
クリエイティブ局 局長。 局長。 局長。
仕事のためには部下にライダーキックを平気で
くらわせる方々を束ねるボスであるというのは
ヨウメイが勝手に思っているだけである。
しかし気になる。
それなら、本田さんの書かれている本を
片っ端から読んでみることにしよう。
まず、手にしたのはネーミングに引かれた
サラリーマン転覆隊シリーズである。
ページをめくると本田さんを始め転覆隊の
方々の写真が目に飛び込んできた。
笑顔の本田さんが写っている。
あ、やさしそう。
しかし、写真で人は分からないのである。
きれいなおねーさんの写真をみせられ、ホイホイと
店に入って行き、全く別人に遭遇しつづけている
小野田少尉を見続けてきているヨウメイにとっては
数枚の写真で本田さんを見抜くことはできないのであった。
果たして本田さんは写真の通りの方なのか!!!
サラリーマン転覆隊とは
本田さんを転覆隊隊長にサラリーマンの方々で結成された
日本一下手なカヌーチームである。
「♪3000円かい俺の小遣い
いつもの店あそべないよ〜」と
千本野原で歌われているように
日々、会社のため激務をこなすサラリーマンを
元気にするため立ち上がり、
仕事の合間に無理やり休暇をとり
遊びに命をかける隊員の方々なのである。
緩やかな川から激流までカヌーで下り転覆を繰り返す。
そして、転覆隊員の楽しみは他人のカヌーが
轟沈することである。
本田さんも隊員の方と一緒にカヌーで川を下り
他の方々が轟沈するのを見るたびに喜んでいる。
「うひゃ ひゃ ひゃ ひゃ」
他人の不幸は密の味とばかりに
笑っている本田さん。
やはり本田さんは鬼か。
ただ、笑えるのは本田さん自身が同じように轟沈しているのである。
また、川下りだけでなく、時間がないにも関わらず、
自転車でお遍路さんを巡られたり結構無茶をしているのである。
女人禁制のため男性しか隊員にはいない。
本を通してではあるが隊員の方々がとても楽しそうなのが伝わってくる。
そこの輪の中に入りたいとさえ思ってしまう。
だだ、その本の一説で転覆隊の仲間の方が
お亡くなりになったことが書かれていた。
ご友人であった方のことを本田さんは
オモシロおかしく本の中で伝えられていたのである。
次のページをめくるまでは、
本田さん、亡くなった方のことをよく書けるな。
もしかして、地球を滅ぼそうとしている悪魔元帥では
ないかと思ったのだが、続きを読んで
本田さんの人を思う心が分かったヨウメイであった。
本田さんが亡くなった友人の方のことを楽しそうに
書いていたのは、亡くなった方でも思い出ばなしとして話すことにより、
人々の心の中で蘇ることを考えられての文章であった。
このページを読むまでは、なんて不謹慎な方だと
思っていたが、この文章を読んで本田さんの
人に対するやさしを知ることとなったのであった。
もしかして本田さん優しい人なのでは…
そして、次に手にした本が
本田さんが電通を退職されたときに書かれた書籍
『僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話』
である。
サラリーマンの方々に向けられたビジネス本の
様相をしているのだが、実は、立てこもり中の
方々にこそ心に響く本であると読んだ後に思った。
読み始めたときは菅原文太さん主演の「ダイナマイトどんどん」のごとく
イケイケどんどんの
本田さんに恐れおののいたのであった。
電通に入社されたときとても生意気で
多くの方々に怒られまくっている。
やはり才能のある方は、常に尖っていて
イケイケのまま偉くなってしまうのか!?
本田さんもそうなのかと思いながら
読み進めていたらどうも違う。
本田さんが電通に入社するいきさつから
仕事で失敗されたことがオモシロいエピソードとして
紹介されている。
どあほにも分かるようにキーポイントは太字になっているので
とても読みやすいのだが、
立てこもりに重要なのはそこではなかった。
なぜか分からないのだが本田さんの数々のオモシロい話や失敗談が
立てこもりには深く響いた。
なぜか分からないが応援してくれるように感じる不思議な本なのである。
ご覧になってない方は、心が折れたときに
是非とも手にとってみられることをお勧めする。
本田さんにはとても迷惑かもしれないのだが、
今のヨウメイには心の支えとなるなくてはならない
1冊となったのは言うまでもない。
といっても始めて書くのでそんなことは知りませんよね。
すみません。
そして何よりも気になったのは電通で局長にまで
なった本田さんが退職されたことにあった。
数々の広告を制作され、賞も受賞し、
局長になられた。
それなのに早期退職。
デビルマンのように裏切り者の名を受けてはないが
全てを捨てて戦う男の道を選ばれている。
そこには何か秘密が隠されているに違いない。
何とかして連絡をとる手段はないものか?
京子さんに頼むというコネ大作戦を駆使しようとも
考えたが、そんな手が通用する方ではないのであきらめる。
それならばどうすればいいか?
ふとインターネットで本田亮さんを調べると
ホームページを発見。
そこで絵本・キャラクターのページを発見。
クリックして行くとかわいらしい動物たちが
いっぱいでてくる。
本田さんの絵本「エコノザウルス」に登場する
キャラクターたちである。
本田さん、環境問題をテーマに漫画も書かれているのであった。
かわいらしいタッチの画で書かれているので
動物たちはめっちゃかわいいのであるが、
伝えられているメッセージはとても考えさせられるものばかりである。
「やるな ブライト」ではないが
「凄いな 本田さん」である。
そしてページをクリックしていくと
お問い合わせのページにたどり着く。
勝算は限りなくゼロに近いのだが企画書を
お送りすることにした。
すると数日後、本田さんから連絡が
返ってきたのである。
「出演 OKです。」
本田さんから出演許諾がとれた瞬間であった。
しかし、本田さんからメールを頂いてから
ヨウメイは妄想で苦しむのである。
本田さんのために先に断っておくが
本田さんは決して悪い人ではない。
むしろ、ビーパルで連載を持ち
講演会などで日本全国を飛び回って
おられる超がつくほど多忙な方なのである。
そのような方が、どこの馬のホネとも
わからないような輩に時間をとって
お話をしてくださるのである。
ここからは本田さんから頂いたメールを見た
ヨウメイの妄想であることをお忘れなく。
本田さんから頂くメールの文章がとても
簡潔で、いっさいの無駄がない。
こちらはメールで収録日の日程を決めるのに
余計なことまでたらたらといつも書いて送っていた。
そしてまた、本田さんからメールが返ってくる
お返事は簡潔に用件がまとめられているのである。
鴻上尚史さんの「ドンキホーテ」シリーズで読んだのだが、
人間を成長させるのも想像力だが、
人間を壊して行くのも想像力である。
用件を伝える為には十分な文章である。
ただ、本田さんの心が読めないのである。
ここでヨウメイはある作戦を思いついたのである。
それはコーヒー大作戦である。
かつてヨウメイが遅刻し、激怒させた
藤原善明組長もコーヒーを飲まれていた。
加藤鷹さんもコーヒーを飲まれていた。
偉大な方々はコーヒー好きに違いない。
さりげなく、用件と一緒にコーヒーのことを
文章に添えて、本田さんにお送りすると
用件に加えて コーヒーは家で
召し上がられるとお返事が返ってきたのであった。
そして、ここからが重要なのである。
全くつかえないころのヨウメイであれば、
その辺でいい豆を買ってそのまま持って行くのである。
しかし、もしかすると家にコーヒー豆をひくミルを
お持ちでないかもしれない。
このときのヨウメイの頭は珍しくフル回転し、
本田さんにお手間をとらせず、
いかにおいしいコーヒーを召し上がって頂くかだけに
注ぎ込まれていたのであった。
そして、もうひとつ、初対面でお会いしたときに
本田さんを笑わせ、場をなごませなければならない。
本田さんの著書「僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった 79の話」
の中にも書かれているのだが
笑いが現場を救うのである。
最初で笑いをとれるかどうかが現場の空気を左右するので
非常に重要なのである。
ただ、ヨウメイはボケに対してつっこむ相方が
いると強いが、相方がいないとオモシロい話も
することができないただのおっさんである。
本田さんにボケてそれにツッコんでいただけるかどうかに
運命はゆだねられたのである。
そして運命を左右するコーヒー大作戦は決行されたのであった。
収録の1時間前、本田さんがお仕事されている
事務所の前に到着していた。
藤原組長も現場には1時間まえに到着されて
待っているというお話を伺い学習していたことと
CM業界では遅刻なんぞしようものなら
打ち首獄門どころか会社がお取り潰しになるらしい。
藤原組長に怒られてヨウメイも学習はするのである。
1秒も遅れてはならないと思い15分前に
インタフォーンを押す。
事務所の扉、ヘブンズゲートが開いた瞬間である。
鬼がでるか、蛇がでるか!?
「時間早いね、パソコン閉じるから
上がって待っててください。」
笑顔の本田さんが扉の向こうに立っていた。
イスを出され、席についたのであった。
ここでコーヒー大作戦決行である。
ここで公開しよう。
ヨウメイのコーヒー大作戦とは、
カフェ・バッハさんでコーヒー豆を仕入れ
コレを本命とし、本田さんにお渡しする。
そのダミーとして本命を打ち込む前に
インスタントコーヒーをボケに使う作戦を考えていた。
「逆襲のシャア」でブライト館長が
地球に降下する小惑星アクシズのノズルを撃破するため
ダミーのミサイルを先に打ち込み、
シャアの目を欺き、本命の核弾頭をいくつか潜りこませ
それでアクシズを撃破する作戦をまねしたのであった。
しかし映画のなかではシャアによって全てのミサイルは撃破され作戦は失敗。
一発だけはアクシズにあたったように思う。
「これ、手土産なんで受け取って下さい。」
とインスタントコーヒーを出すと。
「ありがとう、いただくよ」
と受け取ってくださる本田さんがいらっしゃったのだが、
ヨウメイの心の中は
ちょと待って下さい本田さん!!!!である。
「コレはボケるために用意しましたもので
こちらが本命です。」
ヨウメイのコーヒー大作戦も、本田さんにボケが伝わらず、
本命を打ち込むまえに失敗したのであった。
笑いどころではない。
お話を伺うまえに早くも窮地に立たされるヨウメイであった。
伝わらなければ全てがダメなのである。
映像制作でも過程は大事だが、全ては結果である。
コーヒー大作戦が失敗した空気を緩和してくださったのが
本田さんのひと言であった。
「いやー 喉かわいたね、
お水か炭酸かあるけど飲む?」
本田さんが空気を読んで、
会話をふって場を和ましてくださったのであった。
ありがたや ありがたやである。
普通ならお水を頼むのだが
遠慮なく炭酸を頼んだのである。
お話を伺いに来たのである。
いつもなら失敗したことをずっと引きずるのだが
このときのヨウメイは
本田さんからオモシロいお話を引き出すことに
頭を切り替えたのであった。
本田 亮さん配信 (65分)